AGAが保険適応外なのはなぜか

AGA(男性型脱毛症)を治療する際、どうしてもネックになってくるのが治療費に関してだと思います。AGAクリニックでも皮膚科でも、AGA治療薬での治療は健康保険が適応になりません。AGA診療に関わらず、病院にかかると必ず診療代と処方薬代が発生します。

AGA治療が自由診療になるわけ

AGA治療は「生命に関わる治療ではない」ということが保険診療にならない最たる理由と言えるでしょう。厚生労働省に決められた処方を行わないということですので、医師によって処方の内容が異なり、施術内容にも幅が出てきます。

自由診療について

そもそも自由診療とは何かというと、厚生労働省が適応承認していない治療薬や治療法を用いて診療すること、保険適応外の治療薬を用いて治療を行うことです。施術にかかる費用や治療薬代など、全てが10割自己負担になり、控除もありません。

AGA治療は、厚生労働省未承認のミノキシジルタブレットを使用しているので、自由診療での受診になります。厚生労働省が承認を許しているAGA治療薬はプロペシア、フィナステリド、ザガーロ、デュタステリドだけで、それ以外は厚生労働省未認可医薬品です。未認可医薬品は国内で販売がされていないため、海外から輸入する必要があります。

保険診療と異なり、医師によって施術も治療内容もバラバラで、クリニックによって医療技術やクオリティは一定とは言えません。

保険診療について

一方で病気やケガ、入院時などの万が一の時に保証してくれるのが公的医療保険、いわゆる国民皆保険制度というものです。この公的医療保険には健康保険や共済組合、国民健康保険などが分類されています。

会社などで加入しているところが多く、その場合は毎月の給料から健康保険料として差し引かれているはずです。この保険料によって、一般の医療機関へ受診する際は3割の負担で良く、全国どこでも同等の医療を受診することができます。

未承認のミノキシジルについて

厚生労働省に承認されていない「ミノキシジルタブレット」(ミノキシジルの内服薬)はアメリカでは降圧剤として承認されていますが、発毛薬としては承認されている国はないようです。国内でも臨床試験を行っていない、他国も承認していない薬がミノキシジルなので、国内でも承認されるのはまだ時間がかかるでしょう。

まとめ

  • AGA治療は命にかかわらないので自由診療
  • 自由診療では厚生労働省未認可の治療薬や施術が受けられる
  • 自由診療は医療のクオリティがバラバラ
  • 保険診療は全国どこでも一定の医療を受診できる
  • ミノキシジルは国内でも海外でも発毛薬としては未認可医薬品

AGA治療はどこで?AGAクリニックと皮膚科の違いとは

AGA(男性型脱毛症)は風邪や骨折などのように、薬を飲めばすぐに治ったり時間が経てば改善されたりするような病気ではありません。

AGA(男性型脱毛症)はむしろ逆で、放置すれば放置してしまうほど悪化していきます。AGA(男性型脱毛症)の原因は、男性ホルモンが5αリダクターゼによってジヒドロテストステロンへと変換し、それが毛乳頭細胞へ脱毛のシグナルを出すことです。

毛乳頭細胞は髪の毛の成長をコントロールしており、そこに脱毛指令がくると、ヘアサイクルが短縮してしまいます。これにより抜け毛は増え、短いヘアサイクルになってしまうことで、太くて長い毛髪へと成長できなくなり、頭皮を覆う毛髪がまるで産毛のように弱々しい毛髪になってしまうのです。

AGA(男性型脱毛症)を早めに治療した方がいいわけ

ヘアサイクルは40回の細胞分裂を2年から7年かけて行われるので、およそ80年の寿命があると言われています。しかし短縮された状態を放置してしまうと、一気に1年から半年しか成長する期間がなくなってしまいます。

男性型脱毛症の自覚症状は、抜け毛が増える程度でしか身体からのサインがないので、何時頃発症しているのかがはっきりとわかりません。そのため、自覚症状として頭皮が薄く透けて見えるようになってしまったと感じている頃には、既にヘアサイクルが短縮しています。

例えば25歳で自覚症状がないままAGA(男性型脱毛症)になってしまったとしましょう。

ヘアサイクルの寿命が80年ですので、順調にいけば残り55年はヘアサイクルが正常に循環していき、80歳でヘアサイクルが終焉を迎え、徐々に毛髪が抜け落ちていきます。米寿間近までヘアサイクルが正常に活動していれば、フサフサと頭部にも毛髪が残っているでしょうが、AGAではそれが約半分です。つまり、27~28年でヘアサイクルは終焉を迎えます。

徐々に髪の毛は産毛に近い状態にまで細く短くでしか成長できなくなり、60歳を迎える前には頭頂部と前頭部の毛髪は残っていないでしょう。

ヘアサイクルが終焉を迎えた男性

AGAは何科で受診すればいいのか

AGA(男性型脱毛症)を治療する場合、何科にかかればいいのでしょうか。頭髪のこととなると皮膚科なのか、はたまた男性ホルモンが原因なのであれば男性ホルモンを製造している精巣を調べてもらった方がいいのか、不安になるかもしれません。

AGA(男性型脱毛症)の治療は、AGA治療を専門的に受診しているAGAクリニックや、一部の皮膚科で診てもらうことが可能です。

AGAクリニックでのAGA治療について

AGAクリニックとは、文字通りの意味で、主にAGA治療を行っているクリニックになります。この場合でいうAGA治療とは、AGA治療薬であるフィナステリドを配合した薬やミノキシジル成分の薬剤などを取り扱っていたり、育毛メソセラピーなどができるAGA治療を専門的に行っているという意味です。

AGAスキンクリニックや湘南美容外科などといった、CMやタレントを使って広告を出している大手のクリニックでは、AGA治療を専門的に行っている病院はほとんどありません。

脱毛やスキンケアなどの美容外科がメインのクリニックが、美容皮膚科の延長としてAGA治療も行っています。(AGAスキンクリニックも、大本は東京美容外科です。)

唯一AGA(男性型脱毛症)を専門に受診している老舗のAGAクリニックというと、「銀座総合美容クリニック」でしょう。AGA治療薬と育毛メソセラピーの取り扱いがあり、患者満足度№1のクリニックです。

クリニックによっては、個室に分けられていたり、予約時間を調整して他の人と鉢合わせにしなかったりとプライバシーを守るような配慮がされています。そのため皮膚科や他の診療科目のように、事前予約なしに受診できるわけではないので注意が必要です。

また、AGAクリニックは雑居ビルやオフィルビルの中に入っていることが多く、「AGAクリニックに通っている」と周囲の目を気にすることなく通院することができます。

また皮膚科医と比べ、AGA治療を希望している患者が足を運ぶので、AGA治療数ははるかに勝るでしょう。

皮膚科でのAGA治療について

AGA治療は皮膚科でも受診が可能で、主な治療法はAGA治療薬による投薬治療になります。主にプロペシアとザガーロ、ミノキシジル外用薬を処方してくれます。ただしHARG療法などといった育毛メソセラピーや、植毛手術は行っておらず、国内で承認されていないミノキシジルタブレットを処方することはないでしょう。

またAGAクリニックとは異なり、AGA専門ではないので別の治療目的の患者さんも多くおり、他の患者と出会う確率は非常に高いです。そのかわり予約なしで受診することは可能ですので、AGA治療薬がなくなってしまい急きょ入用になった場合や、旅行先でAGA治療薬を忘れてしまった場合など、臨機応変に対応してくれるでしょう。

AGAクリニックと皮膚科の違い

ではAGAクリニックと皮膚科の違いは何かというと、施術の内容ではないかと思います。

皮膚科でのAGA治療法は投薬治療に対し、AGAクリニックは投薬や育毛メソセラピー、植毛などでAGA治療が可能です。そのためAGA治療薬で効果を感じられなかった時に別の方法で治療することができます。

皮膚科など一般診療科目での薬の処方の仕方は、医師が患者から症状を聞き、それに合った薬の処方箋を出して調剤薬局で処方してもらうのが一般的です。しかしAGA治療は自由診療になりますので、健康保険の適応外になってしまい薬代が1万円超えることも。

AGAクリニックではカウンセラーが常駐しており、そういった薬の説明、AGAの症状など細かく説明した上で、治療を開始するかを患者自身に判断を委ねてくれます。一般的な病院と異なり、いきなり薬を処方してきません。

そのため自分の予算内でAGA治療法を選択でき、治療過程を医師と相談しながら自分の納得のいく治療ができるでしょう。

AGAクリニックでは経過を観測するために、都度頭部の写真を撮ることがあります。治療薬を処方して文字だけでカルテを書いているわけではないので、少し前の自分の頭部と現在の頭部を見比べることができるのも、AGAクリニックならではでしょう。

まとめ

  • AGAクリニックはAGA治療が専門的
  • 皮膚科でもAGA治療を行っている所もある
  • AGAクリニックの治療法は投薬治療と育毛メソセラピー、植毛など多彩
  • 皮膚科のAGA治療法は投薬のみ
  • AGAクリニックの方が皮膚科よりもプライバシーに配慮がある
  • AGAクリニックは予約必須だが、皮膚科は当日診療可能の所もある

AGA治療薬の副作用について

AGA(男性型脱毛症)の治療を行う上で、ほとんどの人がAGA治療薬による投薬治療を選択するでしょう。医師からの説明はあるものの、その場での情報量が多すぎて、副作用については覚えていないことがあります。AGA治療薬には性機能に関しての副作用や、肝機能障害のある人には服薬できないものなど、注意すべき点が多いです。

フィナステリドの副作用について

フィナロイドやフィンペシア、フィンカーという名称にて個人輸入代行サイトで見かけたことがあると思いますが、全て同じ「フィナステリド」という成分でできております。国内で承認されている先発医薬品名は「プロペシア」です。

フィナステリドを配合している治療薬には、過敏症や性機能、肝臓に関しての副作用が報告されています。副作用発現の割合は、1mgを服薬した139例中9例で、6.5%です。その内の4例に性機能に関する副作用が発現し、3例にリビドー減退や勃起不全などの症状が出ていることが臨床試験でも明らかになっています。

プロペシア添付文書_副作用
プロペシア添付文書より 副作用部分抜粋

上記の表以外に重要な副作用として肝機能障害が報告されています。プロペシアは主に肝臓で代謝されるので、肝機能障害を持つ人は個人の判断で服用せずに、医師の判断を仰ぐようにしましょう。肝機能障害患者による服薬の臨床試験は行われていないので、どんな症状が起こるのかが公開されていません。

また、フィナステリド配合薬を服薬した際に過敏症(じんましんやアレルギー反応)が発症したことがある場合、違う薬品名だったとしても、服薬は避けるようにと禁忌次項に記載されています。

禁忌次項には肝機能障害患者への服薬禁止の他に、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性への服薬禁止」と掲載されています。妊婦や授乳中の女性が服薬すると、男子胎児の生殖器官が正常に発育しないおそれがあるためです。

フィナステリド成分は経皮吸収されることもあるため、女性パートナーがいる場合は、錠剤を砕いたり割ったりしないようにしましょう。通常の錠剤の状態であれば、コーティング剤が付いているため、フィナステリド成分に直接触れることはありません。極端な話、フィナステリド配合の錠剤を触った手で女性に触れるのは良くても、キスなどは控える方が良いかもしれません。

デュタステリドの副作用について

フィナステリド成分よりも5α還元酵素の阻害作用が強力とされているデュタステリドは、フィナステリドよりも副作用の発症率が高いようです。

国内外の臨床試験を合わせてみると、557例中95例に副作用が発現しており、発現の割合は17.1%でした。発言した副作用の内容は主に勃起不全24例、リビドー減退22例、精液量減少7例が報告されており、日本人では射精障害も2例報告されています。

ザガーロ添付文書_副作用
ザガーロ添付文書より 副作用部分抜粋

また、前立腺肥大症の患者がデュタステリドを服用した際に、男性乳がんの発症も確認されました。デュタステリドとの関連性は未だ不明のままですが、海外の臨床試験では4325例中3例に乳がんの発現が確認されています。関連性が未解明ですが、無関係であるということもまだ証明されていないので、触って分かるほどのしこりがある場合や乳頭から血の混じった分泌物が出る場合などは、直ちに医師へ相談してください。

またフィナステリド同様、肝臓で代謝するため、重度の肝機能障害を持っている人は医師の判断を仰ぎましょう。

フィナステリドとデュタステリドの共通注意事項

  • 肝機能障害のある患者への投与は必ず医師に相談する
  • 妊婦・授乳中の女性への接触は、経皮吸収の恐れがあるため禁忌
  • 投与して過敏症が発現した既往歴がある人は投与禁止
  • 錠剤を砕いたり割ったりしない

ミノキシジルについて

ミノキシジルには内服薬タイプの「ミノキシジルタブレット」と外用薬タイプの「ミノキシジルローション」があります。外用薬はスカルプDシリーズのメディカルミノキ5や、大正製薬のリアップなどがCMで見かけたことがあるでしょう。

ミノキシジル外用薬の副作用

ミノキシジルにの外用薬には皮膚や頭皮のかゆみ、かぶれなどが発現する可能性が報告されていますが、これは外用薬や塗布剤ならどの薬でも起こりえる症状です。

代表的なミノキシジル外用薬としてリアップの添付文書を確認してみると、他にも胸の痛みや心拍数の増加、めまいや気が遠くなるなどの症状があります。もともとは高血圧の人の血圧を下げる降圧剤として開発されてきたミノキシジルですので、胸の痛みや心拍が速くなるなどは、ミノキシジル特有の副作用といえるでしょう。

リアップ添付文書_副作用
リアップ添付文書より 副作用部分抜粋

ミノキシジルはもともと高血圧の患者に服用する血圧を下げる薬として開発されてきました。開発の最中に全身の毛が以上に発毛する症状が確認され、以降は発毛薬として研究が進められています。血圧に影響を及ぼすことのある商品であるため、高血圧の人や低血圧の人は、医師に相談してから使用するようにしましょう。

尚、リアップでは禁止されている項目が4つあります。

リアップ(ミノキシジル成分配合の外用薬)使用禁止の人

  • ミノキシジル成分配合の塗布剤を使用してアレルギー症状を起こしたことがある人
  • 女性
  • 未成年
  • 髪が斑状(丸い円のような状態)で脱毛している人や、脱毛が急激な人

そしてこの他に、7つの内あてはまる症状が一つでもある人は、使用する前に医師または薬剤師へ相談が必要になります。

リアップ(ミノキシジル成分配合の外用薬)使用要相談の人

  • 発疹、発赤、かゆみ、かぶれ等のアレルギー症状が薬や化粧品で起きた既往歴のある人
  • 高血圧または低血圧の人
  • 心臓、または腎臓に障害のある人
  • むくみのある人
  • 親族に壮年性脱毛症の人がいない人
  • 65歳以上の高齢者
  • 甲状腺機能障害の診断を受けている人

壮年性脱毛症とは、女性と男性どちらにもみられる抜け毛の増加やヘアサイクルが乱れて脱毛する薄毛のことを指し、男性型脱毛症もこの分類に入ります。

ミノキシジル外用薬には濃度が異なるものが販売されており、男性には5%や10%などの高濃度ミノキシジル配合外用薬を使用することができますが、女性は1%までのものが一般的です。これは、国内で臨床試験ではミノキシジル配合量1%のみが、女性での臨床試験に使われたことにより、1%の外用薬を推奨しています。

ミノキシジル内服薬の副作用

ミノキシジル内服薬はノキシジルやロニテンといった名称で通販サイトに登録されていることが多く、発毛薬としても有名です。しかし副作用が発現した場合、症状が重く危険性が高い症状が多いです。

副作用に関しては、胸の痛み、心拍数の増加、呼吸困難などの心血管系障害が生じる可能性があると記載されていました。他にもうっ血性心不全やむくみ、体重の増加などの副作用発現も報告されています。

ミノキシジル内服薬について_男性型脱毛症診療ガイドラインより
ミノキシジル内服薬について_男性型脱毛症診療ガイドラインより

ミノキシジルの内服薬は国内で臨床試験を実施されておらず、取り扱っている皮膚科も少ないです。一方でAGAクリニックでは医師の診断と血液検査、場合によっては遺伝子検査の元、医師が処方しています。

ミノキシジル内服薬は、海外で降圧剤として使用されているようですが、普通に処方されるような薬ではありません。他の降圧剤でも効果が得られない場合に限っていますので、かなり限定的な使われ方をしているようです。さらに服用する場合は、心臓の動きを少し休める作用のあるβ遮断薬や、利尿剤と併用するように警告しています。

国内では十分な検証がなされていない為、男性型脱毛症診療ガイドラインでの評価は、D(推奨しない)です。デュタステリドの女性への投与と同ランクですので、警告レベルの強い薬であることに間違いないでしょう。

臨床試験がきちんとなされていないがために、十分なデータが集まらなかったため、国内で承認できていないのです。しかし重大な副作用が確認されていることは確かですので、ミノキシジル内服薬を服用する場合は、個人輸入で服用するのではなく、必ず医師に判断してもらうようにしましょう。

まとめ

  • フィナステリドの副作用発現率は6.5%
  • フィナステリドの副作用にはリビドー減退や勃起不全、肝機能障害がある
  • デュタステリドの副作用発現率は17.1%
  • デュタステリドの副作用にはリビドー減退や勃起不全、肝機能障害がある
  • デュタステリドを服用して男性乳がんを発現した事例がある(関係性は未解明)
  • ミノキシジル外用薬の副作用は胸の痛みや心拍数の増加、めまいや気が遠くなるなどがる
  • ミノキシジル内服薬の副作用は外用薬の副作用に加え、吸困難などの心血管系障害やうっ血性心不全も起こる場合がある

5αリダクターゼ1型(Ⅰ型)と2型(Ⅱ型)の違い

AGA(男性型脱毛症)の始まりは、テストステロンが5αリダクターゼと結びつくことでジヒドロテストステロンへと変換されるところが始まりです。

ジヒドロテストステロンが毛髪の成長の指令や自然に脱毛するように指令を出している毛乳頭細胞内のレセプターと結びつくと、毛乳頭細胞に脱毛指令を出すように促します。毛乳頭細胞から脱毛指令を受け取った毛髪の元である毛母細胞は、細胞分裂を止めて毛包を退縮し、脱毛していくのです。

概要だけを説明するとAGA(男性型脱毛症)はこのように毛乳頭細胞へ脱毛指令を出させることで、ヘアサイクルを乱して抜け毛を増やします。抜け毛を増やし、正常な毛髪へと成長できない状態が続くと、徐々に頭皮の毛髪が弱々しくなっていき、肌色が見えるようになってしまうのです。

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類がAGA(男性型脱毛症)と関係しています。

5αリダクターゼについて

リダクターゼとは還元酵素のことを指し、還元酵素とは酸化還元酵素の一種で、物質へ電子の受け渡しをする酵素のことです。酵素は体の中で消化や吸収、代謝などといった化学反応を引き起こすための触媒で、人の体の中になくてはなりません。

5αリダクターゼの働きは、男性ホルモンであるテストステロンと結びつくことで、強力な男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」へと変換します。

5αリダクターゼ 1型と2型の違い

この5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型がAGAと関係が深いとされており、主に全身の脂腺(皮脂を分泌する小さい腺)に分布されているのがⅠ型です。Ⅱ型は前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に存在しています。


5αリダクターゼ 1型について

毛根には毛包と皮脂腺と呼ばれる、皮脂を作り出す器官がセットで備わっています。これは何も頭部だけにとどまらず、全身の毛根、毛穴という毛穴に存在している器官です。

この皮脂腺の中に5αリダクターゼⅠ型はあるとされているので、皮脂の分泌量が多い人ほど5αリダクターゼⅠ型が活発である可能性があります。

5αリダクターゼ 2型について

全身の皮脂腺にある1型に対して、5αリダクターゼⅡ型は、頭頂部と前頭部、髭(ひげ)や陰毛などに分布しているとされており、AGA(男性型脱毛症)に影響を及ぼしているのはⅡ型であると考えられるでしょう。

5αリダクターゼⅡ型によってDHT(ジヒドロテストステロンへ)と変換すると、DHTは頭部の毛乳頭へは脱毛因子を、髭や腋毛などの体毛には成長因子を分泌させるように働きます。

そのため、体毛や髭が濃い人や、頭頂部などの毛髪が薄い人は5αリダクターゼⅡ型の影響が大きいと考えられるのです。

それぞれに作用する薬について

AGA(男性型脱毛症)を治療する一つの方法として、5αリダクターゼを阻害する作用の薬があります。「5α還元酵素阻害薬」であるフィナステリドとデュタステリドは、どちらもAGA治療薬として一般的に処方される薬の成分です。

5αリダクターゼⅡ型を阻害するフィナステリド

AGA(男性型脱毛症)に大きく影響しているのは、頭頂部や前頭部に分布している5αリダクターゼⅡ型です。5αリダクターゼⅡ型を阻害する治療薬にはフィナステリド成分が含まれています。国内で承認されている治療薬で言えば、「プロペシア」という薬名が一番有名でしょう。

錠剤タイプの薬で、抜け毛を予防する時に処方されます。2015年にプロペシアのジェネリックは国内で承認されており、AGAクリニックでも取り扱っているところは多いです。

5αリダクターゼⅠ型とⅡ型を阻害するデュタステリド

AGA(男性型脱毛症)に大きく影響している5αリダクターゼⅡ型を阻害するフィナステリドに比べ、5αリダクターゼⅡ型だけではなくⅠ型も阻害する作用を持つのがデュタステリドになります。国内では「ザガーロ」または「アボルブ」という薬名が5α還元酵素Ⅰ型・Ⅱ型阻害薬で、AGA治療薬で使用されるのはザガーロの方です。

アボルブは本来、前立腺肥大症治療薬として使用されていますが、ジェネリック薬が出ているためこちらを使用しているAGAクリニックもあるとか。ちなみにザガーロのジェネリック薬は2020年10月に発売開始となり、AGAクリニックや皮膚科でザガーロの価格が見直されました。

まとめ

  • 5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型がある
  • Ⅰ型は全身の皮脂腺、Ⅱ型は頭部の毛乳頭細胞に分布
  • 皮脂量が多い人はⅠ型が高活性の可能性がある
  • 髭が濃い、頭頂部や前頭部の毛髪量が薄い人はⅡ型が高活性の可能性がある
  • フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型を阻害する
  • デュタステリドは5αリダクターゼⅠ型とⅡ型を阻害する

AGA(男性型脱毛症)は治療すれば治るのか

AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンが原因であるとされています。体内にある男性ホルモンを調整する治療法は、些か不安を覚える人も多いでしょう。

また、AGA(男性型脱毛症)を治療したいと感じていても、本当に治るのかどうかという不安もあるかと思います。AGAの治療方法は、大きく分けて3種類です。

  • AGA治療薬(フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル)
  • メソセラピー
  • 植毛

特にAGA治療薬による治療方法は、AGA治療を専門的に受診しているクリニックの他にも、皮膚科でも処方されるオーソドックスな治療方法になります。

AGA治療薬の種類は何種類か?

個人輸入代行のサイトでAGA治療薬をみると、フィナステリド一つ取っても80件以上の該当商品が上がってきてしまい、しかも名前も似たようなものばかりでややこしいと感じたことがありませんか?

たしかに各製薬会社から販売されているので、薬品名も異なります。しかしAGA治療薬で使用される薬の成分は、同じものです。

  • フィナステリド
  • デュタステリド
  • ミノキシジル

フィナステリドであればプロペシアやフィナロイド、フィンカーといった商品名、デュタステリドであればザガーロ、ミノキシジルならフォリックスなどで販売されています。

フィナステリドとデュタステリドの作用機序とは

AGA(男性型脱毛症)の仕組みは、男性ホルモンであるテストステロンが、5αリダクターゼと結びつくことでジヒドロテストステロンへと変換されるところから始まります。

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドが作用して阻害するのは頭頂部や前頭部に比較的多く分布しているⅡ型です。

ジヒドロテストステロンは変換された後、頭髪の細胞である毛乳頭細胞の中にあるとされている受容体と結びつき、脱毛指令を出すように毛乳頭へ指示を出します。

フィナステリドはこの5αリダクターゼⅡ型を阻害する作用があり、脱毛指令を促すジヒドロテストステロンをそもそも変換させないようにすることで、抜け毛を減らす薬になります。

デュタステリドは5αリダクターゼⅡ型とⅠ型の両方に作用しており、フィナステリドよりも効力が強いとされ、フィナステイドで効果を感じられなかった人などに処方されるケースがあるようです。

ミノキシジルの作用機序とは

高血圧の降圧剤として開発され、その副作用に多毛症が確認されたことで薄毛治療薬として改めて開発されたのがミノキシジルになります。ミノキシジルの評価は、毛髪の成長期における細胞を活性化させる効果も確認されていることから、男性型脱毛症治療ガイドラインでも推奨すべきという意味でもA評価です。

ミノキシジルには成長期中の毛母細胞を活性化させる作用があると言われており、髪の毛がより太く長く成長しやすくなります。

ミノキシジルの初期脱毛は副作用なのか

ミノキシジルを使い始めたら髪の毛が抜け始めてしまい、改善するはずなのにどうして脱毛してしまうのだろうか、と疑問に思うかもしれません。ミノキシジルを取り扱う上で、「抜け毛がよりひどくなってしまった」と慌てないように初期脱毛について触れておきましょう。

AGA(男性型脱毛症)によって乱されたヘアサイクルでは、成長期の毛母細胞に作用するとしても、すぐに退行期、休止期へと移行してしまい、休止期の期間が長くなってしまいます。

ミノキシジルは、休止期を終え、新しく成長期へとの突入した毛髪の毛母細胞を活性化させてくれるので、古い毛髪を押し出す力が強くなり、細く弱った状態でしか成長できなかった髪の毛を脱毛させるのです。

この初期脱毛によって、細く短い毛髪は脱毛し、太く長い毛髪へと成長していきますが、初期脱毛の症状は個人差があるようで、早くても1ヶ月、3ヶ月間続いたという人も。

改善すると言って使ったものの、さらに脱毛してしまうのかと不安に感じるとは思いますが、ミノキシジルを使い始めて抜け毛が増えたと感じる人は、正常なヘアサイクルに戻るための準備をしている最中です。落ち着いて、伸びてくる髪の毛の経過を観察してみると良いかもしれません。

攻めのミノキ、守りのフィナス

AGA(男性型脱毛症)のAGA治療薬に関するページには「攻めのミノキシジル、守りのフィナステリド(またはプロペシア)」という表現が多く出ています。

AGA治療を行う際には、ミノキシジルとフィナステリド、またはミノキシジルとデュタステリドの1セットで処方されるケースが多いです。

AGA(男性型脱毛症)の原因は、ジヒドロテストステロンが毛乳頭にあるレセプターと結びつくことで脱毛指令を出し、ヘアサイクルを乱します。ミノキシジルは成長期の毛母細胞を活性化させる作用で、毛髪を成長させることが目的ですが、ジヒドロテストステロンがレセプターと結びつき抜け毛を促している状況ではすぐにまた脱毛してしまいます。

逆にフィナステリド、デュタステリドだけの処方では、5αリダクターゼの阻害をすることでジヒドロテストステロンへの変換を抑制し、抜け毛を減らすことはできても、毛母細胞を活性化させて、太くて長い健康な髪の毛を育てる作用は持っていません。

成長を促して強い毛髪を作るミノキシジルと、抜け毛を減らすことで髪の毛を守るフィナステリド(デュタステリド)の二つを併せて治療薬として使用することが重要です。産毛のような髪の毛しか生えてなく、頭皮が見える状態だったとしても、ミノキシジルとフィナステリドで薄毛は改善する余地はあります。

育毛メソセラピーについて

AGA治療を専門的に診ているクリニックでは、AGA治療においてメソセラピーを取り入れている所も多いです。

メソセラピーとは、栄養や薬剤を特殊な注射器を使って注入する施術のことを言い、AGAクリニックによっては「ジェットメソ」や「Dr’sメソ」、「オリジナルメソセラピー」など独自の名称を使用しています。薬剤や配合している亜鉛やビタミンなどの量や種類が異なるだけで、似たようなものです。

メソセラピーには毛髪に良いとされる亜鉛やビタミンなどの栄養の他に、毛髪に関する成長因子を注入します。成長因子とは、ざっくり言うと細胞分裂を促すたんぱく質のことです。

毛髪治療における成長因子の役割は、毛乳頭細胞が毛母細胞に対して成長因子を出すことで細胞分裂が活発になり、外部から注入することで不足している成長因子を補います。

メソセラピーには他にも「PRP療法」「HARG療法」といった特殊な施術も含まれています。

PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)について

PRP療法とは、autologous platelet rich plasma(自己多血小板血漿)の略称です。メジャーリーグ所属のニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手も右ひじの靭帯部分断裂の際に行った施術としても有名になりました。

自己多血小板血漿(けっしょう)注入法とは、患者自身の採血した血液から、濃縮した血小板を患部に注入する施術です。

血小板には組織を修復するように促すIGF-1(インスリン様成長因子)などの成長因子が豊富に含まれており、毛髪治療においては毛包や毛髪の成長を促す効果が大きいと言われています。

HARG療法について

HARG(ハーグ)療法とは、Hair regenerative therapy(ヘアーリジェネレイティブセラピー)の略称で、毛髪の再生治療の訳です。

HARG療法ではPRP療法やメソセラピー同様、成長因子を注入しますが、HARGカクテルという幹細胞から抽出した150種類以上の成長因子が含まれている薬剤を注入します。日本国内でも3000件以上の検証がされており、90%以上の症例にて毛髪の増加を確認、アレルギーの発現も報告されていません。

HARG療法では6回コースが1クールとして考えられており、発毛効果を実感するのに3ヶ月から半年はかかると言われています。しかしHARG療法では、注入する成長因子の効果だけではなく、毛包に元々ある幹細胞にも働きかけるため、毛乳頭細胞が正常な状態で働きます。毛乳頭が本来の働きを取り戻すことで毛母細胞への成長因子の分泌をし、さらにそこに150種類以上の成長因子が加わることで、より高い発毛効果が期待できといえるでしょう。

HARG療法は言わば毛包の幹細胞を活性化させることで、AGAによって乱れてしまったヘアサイクルを元に戻そうとする治療法です。フィナステリドかデュタステリドと併せて行うことで5αリダクターゼを阻害しつつ、薄毛になる前の毛髪の状態へと戻ることができるでしょう。

植毛について

AGAの進行がかなり進んでしまうと、既にヘアサイクルが終焉を迎えてしまっている可能性があります。そういった人たちは、いくらAGA治療薬やメソセラピーで治療しても、残念ながら毛母細胞が細胞分裂をしなくなってしまっているため手遅れです。

ヘアサイクルが終焉を迎えてしまった毛包から毛髪を生やすことはできなくとも、まだ活動している毛包を移植する手術が「植毛」で、最終手段ともいえるでしょう。

人工植毛と自毛植毛について

植毛にはポリエステルなどから作られている人工繊維を植え付ける人工毛植毛と、自前のまだヘアサイクルが正常に働いている毛包を摘出し、薄毛になっている部分に植え付ける自毛植毛の二つの選択肢があります。

人工毛植毛とは

人工毛植毛は自毛植毛のように、移植するドナーに制限がありませんので、希望する量を増やすことができることがメリットです。AGA治療薬のように徐々に毛髪が増えるのではなく、手術後にはっきりと以前より毛量が増えていることを実感できるでしょう。

しかし人口毛は抜けてしまうと自然に生えてくるわけではもちろんありませんので、年に数回のメンテナンスが必要になります。また、身体にとって異物を埋め込んでいるわけなので、拒絶反応として感染症や炎症を起こしてもおかしくはありません。

また男性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、自毛植毛の推奨度はBに対して、人口毛植毛は、男性型脱毛症・女性型脱毛症ともに行うべきでないとされるD判定です。アメリカでは人工毛自体を有害器具と定めており、人口毛植毛そのものが禁止となっているほど。

自毛植毛とは

自毛植毛とは、患者自身の毛髪を薄毛部分に移植する植毛のことで、AGA治療の一つとして日本でも多くのクリニックが取り入れています。

人工毛植毛のように化学繊維を使わず、自分の細胞を移植するので拒絶反応や皮膚の炎症も起こりにくいことがメリットのうちの一つでしょう。また、自毛植毛で移植し、定着すれば正常なヘアサイクルで毛髪が成長していくので、脱毛してもまた新しい毛髪が生え変わりますので、人工毛植毛のよな定期メンテナンスは不要です。

ドナーの毛包は、移植後に目立ちにくい耳の横から後頭部にかけて摘出されます。このAGA(男性型脱毛症)の原因であるとされるジヒドロテストステロンとレセプターの結合が少ないとされているからだとも言われているとか。

ただし自毛植毛は、人工毛植毛のように手術後はっきりと効果を感じられるようになるまで数年はかかることがデメリットでしょう。定着したとしても「ショックロス」と呼ばれる局所麻酔の影響や組織の炎症反応による脱毛が起こる可能性もあります。ショックロスに関しては、必ず起こるというわけではありませんが、一時的に脱毛してしまうこともあることを念頭に置いた方がいいでしょう。

自毛植毛の手術方法について

自毛植毛では増やす毛量の単位が、毛髪1本とせず、株(グラフト)と数えられます。ヒトの頭髪は一つの毛穴から2~4本生えているため、1本ではなく1株で数えるのが一般的です。

fut法について

自毛植毛にはいくつか摘出方法があり、畑の作物をこぞって刈り取るコンバインのように、メスを使って後頭部の一部の一面からドナーを摘出する方法が「FUT法」と呼ばれています。一定量を摘出することができるため、一度にたくさんの移植が可能です。

fue法について

農作業において、新芽をある程度残して他を引き抜く間引き作業のように、グラフトを一定間隔で一つ一つくりぬいて摘出する方法が「FUE法」と言います。摘出する作業も移植の作業も多いため、一度に移植できる数に限りがあり、医師の手腕が問われる方法とも言えるでしょう。

また、FUE法では毛包をくりぬいて摘出しますが、時間がかかること、毛包を傷つけてしまう(毛根が切断されてしまう)こともデメリットとして挙がっていました。毛根が切断されてしまうと、いくら植毛で植え込んでも発毛の効果は期待できません。

それをクリアしたと宣伝しているのが、AI搭載のFUE採取ロボットを使用したARTAS(アルタス)植毛です。人の手では時間がかかり、ドナーを植え込む際の植え込む位置や毛包の生えている向きなど、人の手で正確に摘出・移植するには限界があります。それを可能にしたのがARTAS(アルタス)と言えるでしょう。

まとめ

  • AGA治療は、大まかにAGA治療薬とメソセラピー、植毛の3種類
  • AGA治療薬には攻めのミノキシジル、守りのフィナステリド(デュタステリド)の2種類で治療する
  • 基本はAGA治療薬で、メソセラピーは治療薬の補助的に治療をうけるのがオススメ
  • メソセラピーにはPRP療法やHARG療法など種類が豊富
  • AGAクリニックでは含有成分を少し変えてオリジナルとして施術している所が多い
  • ヘアサイクルが終焉を迎えた人は植毛手術で毛包を移植もしくは植え付ける
  • 植毛にはメスで刈り取るFUT法とくり抜くFUE法の2種類の摘出方法がある
  • FUE法にはAI搭載の毛包摘出ロボットのARTAS植毛もあり、FUEのデメリット(時間と医師の力量不足)をカバーしている

AGAとはどんな病気なのか

時代が令和に突入すると、薄毛に悩む人や、それを報道するニュースも増えてきていると感じますね。先日の朝日テレビでは中国におけるかつら業界が紹介され、人口約14億人の内2億5千万人の人が抜け毛に悩んでいると報道されました。

日本でも、成人男性3人に1人が悩んでいる症状でAGA(エージーエー、男性型脱毛症のこと)で悩んでいる人が多いです。

AGAとはAndrogenetic Alopecia(アンドロジェネティック・アロペシア)の略称で、男性型脱毛症のことを指します。男性ホルモンが原因とされている脱毛症で、進行すると毛髪が育たなくなってしまい、頭皮が透けて見える状態になってしまうのです。

しかしAGA(男性型脱毛症)を発症しても、いきなり髪の毛がまとめてゴッソリ抜けるような事態にはなりません。

AGA(男性型脱毛症)とはどんな症状なのか

AGA(男性型脱毛症)は脱毛症の一つで、髪の毛が細い産毛のような状態でしか育たなくなります。そのような、産毛のような髪の毛しか生えてこない「つむじ」や「額の生え際」の見た目は、どんどん頭皮が見えるようになってしまい、M字ハゲやてっぺんハゲのような状態です。

AGA(男性型脱毛症)になってもいきなり髪がゴッソリ抜けてしまうわけではない、と言いましたが、それを説明するには「ヘアサイクル」と「AGA(男性型脱毛症)になるとどうなるのか」を説明する必要があります。

まずは「ヘアサイクル」と呼ばれるものについて説明しましょう。

ヘアサイクルとは髪の毛の一生涯である

髪の毛は、その場所から永遠に伸び続けている爪のような細胞ではありません。髪の毛1本が永遠に伸び続けるわけではなく、同じ毛穴から髪の毛が、成長した後に自然に抜け、また成長をする行為を何度も行って生まれ変わっているのです。

hair-cycle
ヘアサイクル

成長期で髪の毛が成長をし、髪の毛の成長を止め、毛包(毛根を包んでいる細胞)が縮小して表皮近くまで縮む退行期、毛包がまた次に生えてくる髪の毛が成長を止めた髪の毛を押し出して脱毛させる休止期を順番に繰り返しています。この一連の流れ、言わば髪の毛の一生を「ヘアサイクル」と呼びます。

髪の毛の成長の仕方

髪の毛は、毛球と呼ばれる髪の毛の根元の膨らんでいる部分にある毛乳頭細胞が、髪の毛の元となる細胞の毛母細胞に成長するように指令を出すことで成長します。

髪の毛の細胞について
髪の毛の細胞について

毛乳頭細胞が成長シグナルと毛母細胞に出すことで、毛母細胞は細胞分裂を繰り返し、そして死んでしまいます。死んだ細胞を押し上げるような形で毛母細胞はさらに分裂を繰り返していくのです。髪の毛が「死滅細胞だからダメージを与えたら修復できない!」と言われているのも、毛母細胞が死んだ状態で私達の目に見えているからです。

分裂細胞は徐々に角質化し、毛髪を形成して行きます。
つまり、髪の毛とは「分裂後に死んだ (角化)した毛母細胞の集まり」なのです。

銀クリAGA.com – 何故「早期の対策が重要」なのか? より

AGAになるとヘアサイクルが乱れる

ヘアサイクルは成長期、退行期を経て休止期になり、また成長期へと向かっていくと話しました。AGAが発症すると、正常だったヘアサイクルが乱れてしまい、脱毛時期が早まってしまうのです。

AGAの原因は、男性ホルモンが髪に悪影響を及ぼす物質へと変わってしまうために起きると言われています。男性ホルモンであるテストステロンが「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素と結びつき「ジヒドロテストステロン(DHT)」へと変換し、ジヒドロテストステロンは毛乳頭細胞のレセプター(受容体)と結びつきます。

AGA - 脱毛までの流れ
AGA – 脱毛までの流れ

毛乳頭細胞内のレセプターと結びつくことで、ジヒドロテストステロンは毛乳頭細胞へ脱毛指令を出すように指示を送ります。毛乳頭細胞はその指示を受けて毛母細胞をストップさせるので、ヘアサイクルでの休止期へと移行し、成長期の髪の毛は成長途中で脱毛してしまうのです。

薄毛は遺伝と言われる理由

薄毛は遺伝であるとよく耳にしますね。5αリダクターゼの活発性とジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞内にあるレセプターに結びつく感受性、これらが親からの遺伝によって受け継がれると言われています。

毛乳頭細胞内のレセプターと結びつくことで、ジヒドロテストステロンは毛乳頭細胞へ脱毛指令を出すように指示を送ります。毛乳頭細胞はその指示を受けて毛母細胞をストップさせるので、ヘアサイクルでの休止期へと移行し、成長期の髪の毛は成長途中で脱毛してしまうのです。

AGAが発症すると、こういった流れで脱毛していきますが、いきなり抜け毛が増えるわけではありません。

AGAになるとヘアサイクルが乱れるだけではない

乱れたヘアサイクル
乱れたヘアサイクル

AGAによって乱れたヘアサイクルは、ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞へ脱毛指令を出すように指示を出します。その指示を受けた毛乳頭細胞は、毛母細胞に脱毛シグナルを出すことで成長期の途中にもかかわらず、成長を止め退行期へと移行すると前述しました。

ヒトは1日で50~100本近くの髪の毛が自然脱毛すると言われています。10万本程度ある頭髪の数本がAGAによる脱毛かどうかは区別がつきにくいです。その為、自覚症状が長い期間ない状態が続きます。

自覚症状がないため対策をとることができず放置してしまうと、髪の毛にさらなる変化が現れます。それが「毛包のミニチュア化」です。

「毛包のミニチュア化」は髪の毛が育ちにくい症状

成長期が短くなり、髪の毛の成長がストップしている休止期の期間が長くなると、毛包は脱毛準備のために縮小していきます。通常であれば、髪の毛の成長と共に、毛包も毛細血管まで根を深くしていきますが、AGAによって乱れたヘアサイクルでは毛包は正常に成長できません。

毛包が十分に成長できないという事は、太くて長い髪の毛を作ることもできないという事です。

ヘアサイクルには回数に限度がある

ヘアサイクルは成長期に2~6年、退行期に数週間、休止期に数ヶ月かけて繰り返しています。しかしそれも無限に繰り返しているわけではなく、最短でも80年間はこの周期を繰り返します。これは、毛母細胞(だけではなく、人の身体を構成する細胞)の細胞分裂する回数の限度が40から50回程度と言われているからです。

ヒトでは細胞分裂の限界は約50回であり、毛母細胞も例外ではありません。

毛乳頭細胞からシグナルを受けて分裂する回数にも限界があるのです。

銀クリAGA.com – 何故「早期の対策が重要」なのか? より

ヘアサイクルが一周するのに2~7年ですので、単純計算2年×40回で80年間は細胞分裂を行うので、ヘアサイクルは循環すると考えられていますが、AGAの場合はそうはいきません。

AGA(男性型脱毛症)によって乱れてしまったヘアサイクルは、半年から1年程度で脱毛までしてしまうので、サイクルのスパンが短くなっています。

例えば30歳でAGA発症した人がいたとしましょう。
毛母細胞の細胞分裂がそれまで正常に機能していたと仮定して、残りの年数は50年分です。半年でヘアサイクルを一周してしまうとなると、残り25年分しか細胞分裂ができなくなり、55歳には毛母細胞の細胞分裂ができなくなります。

毛母細胞が細胞分裂ができなくなると、それ以上その毛穴からは毛髪が生えてきません。

まとめ

  • 男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼと結びつき、ジヒドロテストステロン(DHT)へと変換される
  • DHTが毛乳頭細胞にある受容体(レセプター)と結びついて毛乳頭細胞へ脱毛指令を出す
  • 指令を受けた毛乳頭細胞は、成長をしている毛母細胞の成長をストップさせる
  • 毛母細胞の細胞分裂が止まり、ヘアサイクルにおける成長期は強制終了
  • 成長期が強制的に退行期へ移行し、休止期が長くなる
  • 毛髪と共に成長する毛包が十分に成長ができなくなる(毛包のミニチュア化)
  • 細く短い産毛のような毛しか育たなくなり、ヘアサイクルが終焉を迎える

AGAに対しての治療効果も見込めるチャップアップについて

現在では1200万人以上が悩まされていると言われているAGAですが、前頭部や頭頂部の抜け毛が増加して薄毛になっていく特徴があり、症状を放置したままにすると症状がますます進行していきます。
そのためAGAで悩んでいる方の中にはミノキシジルやプロペシアなどの改善効果が認められている治療薬を服用される方が多いですし、最近ではAGAや薄毛専門のクリニックも増えてきているので、こういったクリニックに通って治療を受けている方も多いのです。
ただ医薬品であるミノキシジルやプロペシアに関しては改善効果が見込める一方で副作用が起こる可能性もあるので、「リスクがある薬は使いたくない」という方は少なくないでしょうし、「できるならば改善効果が高く望めてリスクが少ない薬の方が良い」という方が多いはずです。
また専門のクリニックによる治療は患者の発毛実感率が高いところも多いようですし、やはり医師による薄毛治療が受けられるというのは安心感があるでしょうから、専門のクリニックでの治療を検討されている方も多いかもしれません。
ただ治療費に関して高額になる事が多いですから、経済的に治療を継続して受けるのが難しいという方も多いかもしれません。
そういった副作用や治療費が気になる方には副作用の報告もなく返金保証制度も付いている「チャップアップ」という育毛剤を試してみるのが良いかもしれません。

 

AGAの治療効果も見込めるとして話題の育毛剤の「チャップアップ」ですが、雑誌やネットなどでも特集が組まれる事が多いですから、薄毛に悩んでいる方であれば関心を持たれている方も多いかもしれません。
大手ネット通販サイトの男性育毛剤部門の2015年度で1位を獲得するなどヒット商品となっていますし、ユーザーの満足度も97%という非常に高い数字を残している事から、育毛業界でも大きな注目を集める育毛剤となっています。
特に注目すべき点として医薬品のミノキシジルと同等の育毛パワーがあると臨床試験で証明されているM-034がこの育毛剤には入っているのですが、化学成分のミノキシジルのような副作用のリスクはなく安全性が高いという事で支持されていますし、チャップアップにはM-034以外にも頭皮トラブルを防ぎ頭皮環境を整える働きがあるグリチルリチン酸やジフェンヒドラミンHCであったり、保湿作用と毛母細胞の働きを活性化させて発毛効果も望めるセンブリエキスなど3種の育毛有効成分が配合されています。
他にもこの育毛剤には頭皮環境を改善したり育毛・発毛を促進する厳選された44種類の有効成分が配合されている事から、発毛に関する協会の会長を務める医師の松山淳さんからも「優秀な品質の育毛剤である事は間違いない」と太鼓判を押しているのです。

 

発毛の専門家からもその品質が太鼓判を押される育毛剤の「チャップアップ」は、一般販売を開始すると同時に売り切れてしまうなど人気商品ですが、副作用のリスクがあるミノキシジルのような化学成分は入ってないながらも、リスクなしでミノキシジルと同等の育毛パワーを持つ事が臨床試験で証明されているM-034が入っていたり、他にも厳選された有効成分が入っている事から口コミで非常に評価が高く、使用を続ける事で薄毛の改善効果が見られる方達が多いようです。
また口コミでは使用感についても好評ですし、頭皮に悪影響をもたらす可能性があるシリコン・石油系界面活性剤・パラベン・鉱物油・香料・着色料・紫外線吸収剤などすべてが無添加である事や、放射能検出もゼロでアレルギーテスト済みである事などがユーザーに安心感を与えているため支持されているようです。
チャップアップはリスクなしで発毛効果を望む人に向いている育毛剤ですが、リスクは伴う事になりますがプロペシアなどの内服薬と併用する事でAGAの治療効果や薄毛の改善効果を実感している人も多いようなので、そういった使い方でこの育毛剤を利用してみるのも薄毛を改善するための有効な手段の一つになるかもしれません。